レトロゲームを語る上で、これは外せないだろう。
不条理ゲームの代名詞、クレイジー・クライマーである。
始めに断っておくが、このゲームにおいての “不条理” とは最高の褒め言葉であって、決してけなしている訳ではない。

ccli0001 © Nichibutsu 1980

思い出に残っているのは、これだけの特殊な内容にも関わらず、本作を模した電子ゲームが相次いで売りだされたことである。
中にはちゃんと2本のレバー付きの意欲作(?)もあり、内容は簡略化されていたものの、十分にクレイジー・クライマーの雰囲気を味わうことができ、持っていた人が羨ましかったものである。

なぜこんなにも人気だったのか。
やっぱりみんな高いところに登るのが好きなんだろう。高いところに登るというのは、人間の根本的欲求みたいなものがあるのかもしれない。この上の階には何が待ち構えてるのか、ってゲームの画面だから先(上)が見えない分、よけいワクワク思えたのだろう。
屋上が近づいてくるとヘリの音が聞こえてくるというのも秀逸だ。あとちょっとという緊張感。そして屋上に手を掛けた時の達成感、妙にリアル感があった。「登ったどー!!」感がハンパないのだ。
実際に数えたことはないが、200階くらいあるんじゃないだろうか。全くの平面でシンプルな画面なのに、妙に高所感を感じられるのが不思議だ。
画面レイアウト的にも、左側にビルの全体マップがあって、今自分はこの辺を登っているというのが分かるのが良く出来ていた。

難易度的には1面は普通、2面は激ムズ、3面はもはや “理不尽” とも言うべき難易度に変わっていく。
2面から出て来る鉄骨・鉄アレイが凶悪で、ほとんどこっちに来ないよう祈りながら登るという感じだった。あのピュルルルピュルルル…って音聞くだけで死を覚悟したくらい嫌~な音。
3面のビルのシルエットがエンパイアステートビルっぽくて、非常に興奮した思い出があるが、2面をクリアすることすらままならなかった。ちなみに3面をクリアした記憶はない。あとちょっとまでは行ったと思うが、2列しかない部分で高速に閉まる窓にやられたと思う。
神聖な山と同じで、なかなか人を受け付けてくれない。難しいが故に、高次元のビルの屋上は神々しく見えた。ちょっと大げさだけど、そんな神秘的なものを感じさせた。だから何度でも人を惹きつけたのかもしれない。

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